>コミュニケーションが当たり前のように存在してる時代は終わったんだ

>水さえ、お金で買う時代だし

>今や空気の缶詰も売ってるし

>だね

>だね

 




先進国病とも言われる「引きこもり」は、日本では今や100万人にものぼると言われます。自分の部屋に籠もり、家族や社会との関係を自ら絶つ。いったい彼らは何を拒否して籠城するのでしょう。引きこもる中でいったい彼らはその先に、 何を見つめているのでしょう。

また、今なお目覚ましい勢いで進化しつづけるインターネットは、個人がいともたやすく世界と繋がることを可能にしました。それは「核家族→個人主義」へ と変貌を続ける「日本の家族」から、ますますコミュニケーションの手段を奪いつつあるのかもしれません。自室に居ながらにして世界を相手にできるインター ネットは、「引きこもり」とも決して無縁ではないでしょう。

『コネクト』は、自室に5年間引きこもり、インターネットに居場所を見いだした青年(いっぱしの大人)が主人公です。青年の家族、インターネットでのチャッ ト仲間、メンタル・フレンド(引きこもりの社会復帰を手助けする人)などが登場し、さまざまなコミュニケーションとディスコミュニケーションが展開されて いきます。そう、これは「コミュニケーションの成立・不成立」を探るドラマでもあります。

そしてこのドラマを、僕は、なぜか奇妙に「引きこもり」と符合する、あの有 名な『星の王子さま』を下敷きに、ひもといていこうと思います。




(引きこもり+インターネット)÷星の王子さま=家族の再生?

 

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劇団一跡二跳

制作:岸本 匡史