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 性別を、年齢を、軽々と越えながらそこにはあざとい声色も仕草もない。そんな登場人物達が行き交う舞台は創れないものか。そこが今回の出発点です。大人の声・動作そのままの男優に、少女と老女を見ることができれば、物語もきっとより生き生きと、皆さんの前に立ち現れてくれると思うのですが。
1997年2月 古城十忍

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奥村老女 松浦少女 越村男5 新野男4
男3これからお話しするのは本当にあった出来事です。
男4(煙草をくゆらせ)正確には本当にあった、と聞かされた話なんで、全部が全部事実かどうか……
男1(男4に)事実ですよ。見てましたから。
男4全部じゃないでしょう。
男2(客席に)ですが部分的には僕も……
男3君は黙ってなさい
男1いわば、共犯者ですし。
男5共犯者
男4意味深な言い方しますね。共犯者。

少女まだ女じゃないんでしょう、あたし。
男1いやだから来るって、ほっといても来年いや、再来年か、中学生になればいやでも。
少女違う。いつ来るかって年のこと聞いてるんじゃないの。
男1じゃ何。
少女寝てる時?起きてる時?起きてるとしたらご飯食べてる時?トイレでウンコしてる時ってホント?フォークダンスの時に来ることあんの?
男1そりゃあるでしょ。
少女(一瞬固まるが)あるのかぁ……。

老女ごめんなさいね、頼まれもしないのにあたし出しちゃうから。
男1そういうことじゃないんですよ。
老女人が食べるとこ見るの、好きになっちゃったのよ。
男1………。
少女なんだ、それ。

男1(いつのまにか現れて)記念写真ですか?。
男3そっち、入ってください。
男1あ、すいません。
男2じゃ皆さん、とびっきりの笑顔でお願いします。はい、、1+1は?
 「2」という声がする中、ストロボが閃き、シャッターが切れる。
なぜか少女も老女も加わっての「記念写真」。

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