ボクは、ある日突然に精神年齢が20歳になった

主人公の「羽山走次」は小学校3年生。実年齢は8歳ですが、ある日、精神年齢だけが異常に発達して20歳になってしまいます。すると、たちまち世界は一変。走次から見ると、周りの大人たちがみんな非常に幼いのです。お父さんもお母さんも、担任の先生さえも、まるで幼い子供。19歳の兄もまだまだ小学生クラス、おじいちゃんにいたってはまさに赤ん坊……。  どうしてこんなことになってしまったのか……? その原因を探るべく思い悩んでいるうちに、走次は同じ3年生の「外海のりこ」と出会います。実はのりこもまた、走次と同じように精神年齢が大人になっていたのです。そして彼女はシェークスピアの「真夏の夜の夢」を示し、「この恋人たちのように、私たちは恋の魔法をかけられたのだ」と言うのです。  話を聞いた走次は喜び勇んで家に帰っていきます。というのも家庭の中でただ一人、ホームヘルパーとしてやってくる「青井小箱さん」の精神年齢だけは、走次から見ても実年齢と同じ20歳だったからです。  こうして走次は「真夏の夜の夢」の登場人物さながら、魔法を受け入れて、家庭という森をさまよい始めていきます。しかし魔法は、次第に恋の魔法から悪夢へと変わっていくのでした……。


8歳の男の子から見た精神年齢の世界。


このユニークで奥深い物語の原作は、少女コミック界の巨匠・大島弓子。
その優しいまなざしに満ちた世界に、古城十忍が新たにシェークスピアの『真夏の夜の夢』を重ねて描く、 子どもの目から見た、 いとおしく心に染み入る家族の物語。
精神年齢世界という物語だけではなく、シンプルな舞台セットも想像力をかきたてます。 俳優の動きと照明の変化だけで、リビング・教室・屋上・レストランが次々に眼前で展開。 そして、PPM(ピーター・ポール&マリー)はじめ、郷愁をそそるオールディーズの名曲が、この物語を包み込みます。
子どもが子どもであるために、 親子が親子であるために。
すべての大人と子どもに、この舞台を捧げます。
家族を見つめ直す機会として、この物語と、どうぞ出会って下さい。
「羽山走次」はきっと、あなたの心の中にもいるのです。



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劇団一跡二跳
制作:岸本 匡史