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近年活躍めざましい若手劇作家の阿藤智恵。13年度文化庁芸術創作奨励賞佳作受賞した作品「セゾン・ド・メゾン〜メゾン・ド・セゾン」を一跡二跳の古城十忍が「初・女性作家作品演出」「初・女性のみのキャスティング」でお送りする、一跡二跳プロデュース公演です。実力派の女優四人のキャスティングでお届けします。 三姉妹と母は様々な季節や場所を旅しながら、無くしているらしき記憶の断片を体験していきます。それは彼女達の様々な扉を開けて覗き見るような情景を見せてくれます。時にはお互いの事を知らないながら会話し、時には子どもの三姉妹として遊びながら、漂うようにその関係が描かれていきます。
女性作家ならではの感性に満ちた作品を劇団一跡二跳の古城十忍が演出します。 | ||
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何かを探し、迷いつづける四人の女の物語。やがて四人は一人の母と、その三人の娘であることがうっすらと浮かび上がってくる。幼い頃に母を失った三人の姉妹と、幼い娘を亡くした母親は、様々に姿を変える舞台の上で何度も出会い、別れ、すれ違っていく。 |
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1968年大阪府生まれ。平成3年3月大阪大学文学部日本学科卒業。昭和62年、劇団第2劇場入団。平成6年から3年間、加藤健一事務所俳優教室で学ぶ。平成8年から3年間、「かもねぎショット」高見亮子氏の演出助手。平成12年から、鐘下辰男氏の演出助手として演劇企画集団THEガジラの3公演に参加するかたわら、la
Compagnie"A-n"に所属し、フランス公演などを行う。平成13年に退団後、フリーの演出家・劇作家として現在に至る。 「中二階な人々」で平成14年度舞台芸術創作奨励賞・特別賞を受賞。 |
中村まり子 (なかむらまりこ) 東京都出身 文化学院大学部仏文科中退 子供時代から父(中村伸郎)の在籍した劇団文学座、NLTの舞台に子役として出演 1969〜72 劇団 浪曼劇場(三島由紀夫 主宰)に在籍 1972〜73 現代演劇協会 劇団 雲に在籍 1972 パリ・ユシェット座にて「ベラ・レーヌ演劇学校」に参加 1972〜88 渋谷ジァンジァン“金曜夜10時劇場”イヨネスコ作「授業」15年ロングラン 1994 劇団三人芝居結成 2000 同上解散 1980年より演劇企画ユニット、パニック・シアターを主宰し、現在に至る <主な出演作品> 〔舞台〕「サロメ」「地球は丸い」(浪曼劇場)、「天保十二年のシェイクスピア」「新・道元の冒険」(井上ひさし)、「調理場」「旅立ち」(五月舎)、「信天翁」「二階の女」(飯沢匡)、「瀕死の王様」(木山事務所)、「ル・バル」(シアター・コクーン)、「トップ・ガールズ」「マスター・ピーシィス」「トゥデイ」「ニープタイド」「ラズベリー」他イギリス現代劇、ギィ・フォワシィ作品(ギィ・フォワシィ・シアター)、「ホテル・ボルティモア」(テアトル・エコー)、「結婚契約破棄宣言」他北野ひろし作品(劇団ONLYクライマックス、劇団三人芝居)、「黄昏に踊る」(マルセ・カンパニー)、「もしもし母さん」(永六輔)他多数。 〔映画〕「野獣狩」(須川栄三監督)、「人間の砂漠」(斉藤耕一監督)、「テラ戦士 BOY」、「ふざけろ!」、「お葬式」「あげまん」(伊丹十三監督)、「12人の優しい日本人」(中原俊監督)他 〔テレビ〕 「花は花よめ」「白い恐怖」「暖流」「学校があぶない」「晴れ着、ここ一番」他レギュラー2時間ドラマ他 ラジオ・ドラマ、ナレーションなど |
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木内里美(きないさとみ) 土臭さとしっかりした生活感が漂う役者として、根強いファンを持つ。やんちゃな子供役や性転換した男役から味わい深いおばあちゃん役まで、幅広い役をこなす演技派。 <主な出演作品> 舞台 SCOT 『三人姉妹』(利賀山房、西武美術館) 『トロイアの女』(シドニーオペラハウス、ソウル、香港) かもねぎショット 『夢あるうち今のうち』 『婦人ジャンプ〜ああ、この人生の並木道〜』 『遠くを見る癖』 『乙女のワルツ』(MODEとの合同公演) 『夢十夜〜嘘〜』 『魚の祭』(MODE×青春五月党に客演) 『マクベス』(紀伊國屋ホール:マクダフ夫人他5役、主催・制作メジャーリーグ、紀伊國屋1ヶ月、大阪、福岡、名古屋、宮崎、横浜他11カ所) 『その男、顔のない』(一跡二跳) |
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水戸部千希己(みとべせきみ) 劇団薔薇座を1988年退団、以降は舞台を中心に各方面で活躍中。文化庁芸術祭主催公演『雲の涯』(主演)は、1986年に朝日新聞で“昨年度のベスト3”、演劇誌テアトロで“年間ベスト1”に選ばれた。アカペラコーラスグループ“S.A.Junction”のリーダーとして、構成から作曲・アレンジ迄手がけている。現在、銀座のライブハウスTACTにレギュラー出演中。 <主な出演作品> 舞台 『STAGE DOOR』『奇跡の人』『小公子』(ミュージカル)『風になれたら』『リア王』『LOVE LETTERS』『家族ゲーム(三人姉妹より)』『雫の中の星座』(ミュージカル)『コレクター』『天神様の細道』『壊れた風景』『雲の涯』『夢、ハムレットの』『瀕死の王様』『島村抱月』(ミュージカル)『ベッドルーム』『沈黙の戦い』『キーン─或いは狂気と天才─』 テレビ・CM・ナレーション TV『はだかの刑事』『親愛なるものへ』『最後のサンタクロース』 CM『S&B8/5チップ』『NTTパーソナル中国』『フィットローラー』 ナレーション『日本テレコム』『三菱自動車』『アース製薬』 |
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関谷美香子(せきやみかこ) 日本大学芸術学部演劇学科卒業後、円・演劇研究所2年在籍。 1999年 劇団一跡二跳入団 (舞台) 英国祭参加作品 シアターΧ若手解放企画THE NOH THEATRE PROJECT公演 能・安達ヶ原より 「NOH DREAMS」(1998) 「ガッコー設立委員会」(1999) 「醜形恐怖。」 (1999) 「アジアンエイリアン」 (2000) 「コネクト」紀伊國屋サザンシアター(2000) 「愛しすぎる男たち」青山円形劇場(2001) 「海のてっぺん」紀伊國屋ホール (2001) 「肉体改造クラブ」中野ザ・ポケット (2001) 「奇妙旅行」シアタートップス (2002) 「その男、顔のない」紀伊國屋サザンシアター(2002) 「コネクト」(2002)東京芸術劇場 |
■作/阿藤智恵 |
嬉しいことがあると、私は踊りたくなります。 今年の2月だったか、友だちと食事していたら、すごく嬉しい報告を聞かせてもらえて、 あまりに爆発的に嬉しかったから、 ――わーい!踊りたい! といってみました。彼女がいいよ、と言ったので、即座に立ち上がって両手を上に上げたら、ステップを踏むか踏まないかのうちに ――やめて!座って!! と電光石火の勢いで止められてしまいました。が、私は、別の友だちとお茶を飲んでいて、喫茶店で踊ったこともあります(彼女はあきれたまま好きなだけ踊らせてくれた)。 今回のこの作品に関しては、私は今までに何度も踊っています。 文化庁から、佳作受賞のお知らせが来たとき。 上演のオファーが来たとき。 キャストが決定したとき。 女優さんたちが揃って、読みあわせをしてくださったとき。 古城さんに助言をいただいて書くことになった加筆部分のアイデアが湧いたとき。 キャストの女優さんから電話がかかってきて感想をきかせてくださったとき。……などなど。 この作品を最初に書き始めたのは1997年のことだったので、今はもう覚えていないけれど、自分じゃ「ケッサクだ」と思うヘンなセリフが出てくるたびに、きっと私は踊っていたと思います。 今、こうやってお手紙を書きながら、欲張りな私は、これから何回、そんな嬉しいことがあるかなぁと指折り数えてたのしみにしています。 きっと稽古の最中にも、本番が始まっても、私は何度も踊るでしょう。 そして何より、劇場にあなたの姿を見つけたら、きっと私は押さえきれずに心の中で踊るんだろうな。 私の中で生まれたこの小さな作品が、どうかあなたに出会えますように。 |
■演出/古城十忍 |
SARS旋風が終息の兆しを見せて、「よかったよかった」と胸をなで下ろしていたのに、油断大敵ですね、季節の変わり目ですっかり体調を崩してしまいました。年を取るごとに、僕はますます冷房が駄目な体質になりつつありますが、お変わりありませんか?
元気ですか? 最近立て続けに、大当たりの映画を2本観ました。 1本目はタイトルにひかれて出かけた『散歩する惑星』。 これが実にユニークで斬新な傑作でした。とある都市を舞台に、何をやってもうまくいかない人たちの悲惨なエピソードが次々に繰り広げられるのですが、悲惨なのにムフフと笑えてしまう。ムフフと笑いながら、やがてじわじわと空恐ろしい気分に包まれていく。そんな摩訶不思議でシュールな世界が展開します。会話はスウェーデン語ですが、この都市がどこなのかは定かでなく、そもそも現在なのか未来なのかもはっきりしない。いったいこの都市(=惑星)は、散歩の果てにどこに向かおうとしているのか、最後まで奇妙なドキドキ感に浸らされました。 もう1本は、ニコール・キッドマンがアカデミー主演女優賞をとった『めぐりあう時間たち』。 こちらは実在した作家、ヴァージニア・ウルフの物語を軸に、異なる時代を生きた3人の女たちの、それぞれの1日の出来事をリアルに描いています。個別の女性をリアルに描くと、「普遍的な女性像」が浮かび上がってくるから不思議です。まさに「女とはかくや?」の物語で、それぞれの女性の葛藤、こころ模様が実に丁寧に伝わってきます。三つの時間を自在に行き交う脚本と演出も見事でした。おまけにクライマックスでは、あっと驚く、感動的な「時間の融合」まで仕掛けられていますし。 どちらもまだ未見であれば、ぜひ映画館へ。損はしないと思います。 さてさて、ここからちょっとこじつけめきますが、一跡二跳初のプロデュース公演となる『セゾン・ド・メゾン〜メゾン・ド・セゾン』は、その2本の映画のエッセンスが入っているような芝居です。 まず、阿藤智恵さんの脚本が、摩訶不思議という点で『散歩する惑星』に負けていません。時空を軽々と飛び越えて繰り広げられる世界は、現実なんだか非現実なんだか、それさえも危うい。物語が転びかけたと思ったら、ブツリと断ち切られてしまう。会話は実に細かいことをざっくばらんに話していて笑えるのに、全体像として浮かび上がってくる世界はとってもシュールなんです。 そして『めぐりあう時間たち』と同じように、描かれるのは「女たち」です。登場する4人は三人姉妹と母親らしいことが透けて見えてくるのですが、その関係はどこか疑わしく、本当に繋がりがあるのか、ないのか。そこに引きずられて行くうちに、やがて「女とはかくや?」といった普遍的な女性像・人間像が浮かびあがってくるのです。見事です。 このユニークな脚本を血肉の通った世界にしてくれるキャストは、まずこれ以上は望めないベストメンバーだと断言しておきましょう。 初めてご一緒する中村まり子さんは演技派の中の演技派、個人的にはぶっきらぼうなセリフ回しにしびれます。どんな役でもこなしてしまう木内里美さんは、47回公演『その男、顔のない』にも出演いただきましたから、その実力のほどはおわかりでしょう。大輪の花のようにオーラを醸し出す水戸部千希己さんも今回初めてですが、彼女の男っぷりの良さ(?)には惚れ惚れします。そして一跡二跳からは、唯一の出演となる関谷美香子。伸び盛りですから、お姉さま方に囲まれて、どんな変貌を遂げてくれるか楽しみです。 などと勝手なことを書き並べてますが、面白い脚本に完璧な女優陣とくれば、あとはひとえに私、演出家の問題ですから、マジ、大変です。夜も眠れぬ苦悶の日々が続きそうです。 演出家としては、年長の客演3人が三姉妹を、一番年若い関谷美香子が母親を演じるという趣向で臨みますが、果たしてどんな「女性像」が浮かび上がってくるのか、楽しみに劇場へお越しくださいませ。たぶん今より10キロは痩せこけた姿でお迎えすることと思います。 |
制作:岸本 匡史