僕はぐるぐる巻きに縛られている。 もう泣きそうだ。 なんで、僕はお父さんに殴られるの? なんで、お母さんは僕のことを助けてくれないの? なんで、僕は生きてるの? 僕はお父さんに、お母さんに殺される…。 僕には逃げる場所がない…。 |
子どもの頃って、どうしてあんなに一日が長かったんでしょうね。
自宅の応接間にでっかい火鉢が置いてあったんです。その火鉢の灰を一生懸命、一つ違いの従兄弟と両手ですくってはソファの上に小山を作ってたんですね。その何が楽しかったのか今じゃさっぱりわかりませんが、夢中になってソファも床も灰まみれにしてたました。けらけら二人して笑ってたと思います。で、そこへ父親が飛び込んできて殴られたんですね、こっぴどく。何かわぁわぁ、大声を浴びせられながらバシバシ殴られたような気がします。 やはり「殴られた記憶」ってやつはインパクトが強いんですね。まぁ、どっちも殴られるだけのことはある単なるクソガキだったんですけども。でも幸いにして僕は、親を疎ましく思うことはあっても憎むことなく大人になれましたから、たぶん幸せ者です。 5月の新作『殺意の家』では、「幼児虐待」を描いてみようとしています。またまたハードでどっかりくるようなテーマですが、「刷り込まれていく記憶」と「時間のすっ飛んでいく速さ」をキーポイントにして、どこかユーモラスで摩訶不思議な芝居に仕上げたいと思っています。 場所は去年の3月以来となる「THEATER/TOPS」です。ホームグラウンドで好き勝手にやらせてもらうつもりですので、ぜひお時間つくって見てやってください。 |
制作:岸本 匡史