アジアン・エイリアン
第36回公演
1998.7/22(Wed)--27(Mon)
Place:THEATER/TOPS



 1991年11月4日の朝日新聞に「私の夫は誰だった?」という記事が記載された。4年間ともに暮らした夫が死んでみると、名前も職業もすべて嘘であったことが判明。いまだに「彼は本当は誰であったのか」が分かっていません。
 情報化社会・管理社会と呼ばれて久しいこの国において、一方では戸籍売買ブローカーが暗躍し、失踪マニュアルの本がベストセラーに押し上げられもします。現在、この国で人が生きているという証はどこにあるのか。「私」であることの必然は何に求めればよいのか。7年前の事件をヒントにしたこの芝居は、異国に暮らす異邦人としての日本人が、今現在どのような状況にあるのかを問う、現代の日本人論としても描いていきます。

消えた男
ダイレクトメールがとんでもなく来る。それも途方もない数。男は気味悪くなって住所を変えた。ところがどうだ。届くメールは前より多い。住所の知れるあらゆるカード、身分証すら捨てたというのに。もしかしたら、ここは自分の居るべき場所ではないのかもしれない。男は再び住まいを変えた。そして忽然と、姿を消してしまった。実はそのまま死んでしまったのかもしれない。

探す男
かけがえのない人が、あっけなく死んだ。身内は自分しかいない。葬式だ。喪主ということになる。ところがどうだ。かけがえがないと思っていた人は名前も職業もすべてがデタラメ、あんなに同じ時を過ごしたというのに、本当は誰だったのか、まるでわからない。まさか、最初から死んでいたということはあるまいに。

アジアン・エイリアン
こうして、死体となって消えた男を、探す男の怪しい旅が始まった。

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劇団一跡二跳

制作:岸本 匡史