アジアン・エイリアン



■霊安室前……。
かけがえのない男が死んだ。妹と一緒に。駆けつけて死に顔と対面した矢先、男の名前も本籍もデタラメだったことが判明。「あいつは本当は誰だったのか」。ともに過ごした日々が途端にぐらつき始める。やがて霊安室から、不可解さをあおるように「水」が染み出してくる……。
1998年初演。舞台床に溜まり続ける水の上で繰り広げられる「日本と日本人」をめぐる問題作。個人情報売買。国民総背番号制。見えざる顔。この国において「私が私であることの必然」は何に求めればよいのか。死体となった男の素性を探る旅は、蜘蛛の糸をたぐるように頼りない。水はどこまでもカサを増して溜まり続ける。エイリアンは誰だ。





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劇団一跡二跳

制作:岸本 匡史