女2 | いいの、わかってるから。はっきり言って、覚悟できてるし。 | |
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男2 | なんだよ覚悟って。 | |
女2 | 言えばお互いすっきりするんだから。3秒待つわ。ハイ321…… | |
男2 | だから来てるじゃないか、こうして荷物持って、来たいから来たんだよ。 | |
女2 | 同情? 義務感? | |
男2 | 俺はアツシ君の父親だ。 | |
女2 | 父親が息子を君づけで呼ぶ? | |
男2 | ………。 |
男1 | ………。(女0を見て、空を見上げる) | ||
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女0 | (空を見上げ)ねぇハワイの空って、これより青かった? | ||
男1 | ───気がするな。 | ||
女0 | 腹が立ったりした? | ||
男1 | 何見ても浮かれっぱなし。 | ||
女0 | 別ぁれテェープゥをぉ笑顔で切ればぁ〜希望はてなぁい〜遙かな…… |
男2 | 場所としちゃ、いいコーディネートだと思うよ。テラハラさん、そこらへんちゃんと考えてくれてるんだよ。 | |
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女2 | でも密室って逃げ場がないってことでしょ、テラハラさんいないのよ、いきなり修羅場になったらどうするの? | |
男2 | だから言ったろ我慢だって。馬に乗って。 | |
女2 | あ、馬。そう、馬ね、馬。 | |
男2 | ………。 | |
女2 | ………。 |
男1 | 歌い始めて───、カオルは何曲の歌を歌うことができたのだろうと考えた。 通算100曲ぐらいは歌えたのだろうか。 生まれて初めてカオルが歌ったのはいつだったか───。 カオルが最後に歌ったのはどんな場面だったのか───。 カオルと私は、声を合わせて同じ歌を歌ったことがあっただろうか。 カオルと私が、一緒に歌える歌は世界に何曲あったのだろう。 いったいこの世界には、カオルの知らない、歌うことのなかった歌が、何曲あるのだろう。 |
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男1 | (拳で胸をドンドンと叩きつつ)ここが、ここの、なんか知らん重いものが少しでも取れたか? | |
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女1 | ───どうしてあたしを責めるの? | |
男1 | ───責めてない。 | |
女1 | 責めてるわ。あれ以来、あなた一度だって、あたしの欲しい言葉をくれたことない。あなたの言葉にやすらげたことはあれ以来、一度だってない。 | |
男1 | ………。 | |
女1 | この人たちと理解し合う前に、あたしにはないの、言葉は。 | |
男1 | ………。 |