いつのまにか、さやかに差し出された手が無数に増えている……。
父の手、母の手、なつきの手、みるくの手、あやの手、友達の手……。
さやか、凍り付く。
と、達彦以外の手の主たちのくすくす笑う声……。
その声はみるみる怒濤のように蠢かんばかりに響き渡っていく……。





……覚え、てるわよね?
さやか 何……?
10月2日。
達彦君が死んだ日だ。
さやか ……!



 

ゲームキャラクターの少女たち、マネキンのようにポーズを決めて立っている。
そこへさやか、迷い込んだように飛び込んできて、マネキンの少女たちに─。
さやか ねぇ、達彦さん知らない?見なかった?
  ゲームキャラクターのマネキン少女たち、くすくす笑う。




あや あなた、さやかじゃない。

さやか え……?
あや さやかと達彦さんはココにいる。
  言いつつあやPCを開けると、その画面の中、達彦とさやかが笑っている。



みるく

(達彦に)河合です。
さやか あたしの家庭教師、日下部達彦さん。
みるく え、いいなぁ、あたしも教えてもらいたいです。
なつき え、なんで?
みるく だって相沢君、全然頼りにならないんだモン。


さやか あたし、このまま消されちゃうわけ?

 

達彦 君は消されないよ。僕のゲームが終了するんだ。
さやか 同じことだよ、消さないで。
達彦 ゲームはいつか終わるんだよ。

END
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