第27回公演 ONとOFFのセレナーデ 1995.4/13(Thu)--16(Sun) Theme:葬送の自由 Place:品川 六行会ホール |
「ONとOFFのセレナーデ」とは?
ニッポン全国、真夜中。今夜もパソコン通信のチャッターたちの会話の花が咲く。
ハンドルネーム「ヤリタイ」「シタイ」「小夜子」「天涯孤独」
の4人もそんな仲間だ。
ところが初めて直接顔を合わせる“オフ会”が近いというのに、
シタイからの連絡が途絶えてしまった。
そしてある日、シタイから仲間全員に謎の電子メールが届けられる。
その指示に従ってヤリタイが手に入れたのは、白い粉の入った謎の小瓶……。
それは小夜子にも天涯孤独にも届けられていた。
シタイは何の目的で白い粉を送ってきたのか?
謎が謎を孕みながら、ヤリタイのシタイ捜しが始まっていく……。
パソコン通信を軸に、「葬送の自由」というテーマに深く切り込みます。
別に怪奇物語じゃないのですが、僕は骨を食べたことがあります。もちろん人骨です。それは母親のもので、ガンに侵された骨は黒ずんでいて、宝捜しのように白くてきれいなかけらを拾い出してはポリポリと、かりんとうをかじるように食べてみたのでした。 母の骨なのに、オフクロの味なんかしませんでした。ほとんど味覚というものがなく、僕はただ機械的にポリポリと、三かけほどを噛み砕いたのです。特に理由はありません。なんとなく、そうしてみたかったのです。 それから10年たって、オヤジが死んだときも、火葬場からの帰りにみつくろった骨をもらって、夜中ひとりでポリポリやってみました。やっぱりそこにオヤジらしさを見つけることはできませんでした。人骨はただの人骨でしかないのです。 食べながらこんなことを考えました。父も母も、まさか息子に骨を食べられるとは思わなかっただろうな。あ、そういえばオヤジのほうは僕が母の骨を食べたことを知っていたので「もしかしたらこいつ、俺のときも食うんじゃねぇか」くらいは思ったことがあるかもしれないな。そんな取り留めのないことです。 僕には残念ながら子供がいません。だから僕の骨はたぶん、誰に食べられることもなく控えめに風化していくのだろうと思います。別にそれに不満はないのですが、ほんの少し寂しいような気もしてしまうのです。 『ONとOFFのセレナーデ』はパソコン通信を題材にしていますが、骨をめぐる物語でもあります。そして、この奇妙な取り合わせを結ぶキーワードは「オノ・ヨーコ」です。
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1995年1月 古城十忍 |
制作:岸本 匡史