志都美・一平・静香、それぞれ自分の席に戻りつつー。 |
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志都美 | それでなくても噂になる。世間が黙ってるわけないのよ。 |
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静香 | いちいち世間のこと気にしてたら、あたし何もできない。 |
清家 | お前、気にしてるじゃないか、世間を。 |
静香 | あたしが? |
清家 | ここに来るのに他人の振りしただろう、訪問販売装って。 |
静香 | あれは、成り行きでそうなったのよ。 |
志都美 | そうよ、あれはあたしも成り行きよ。 |
清家 | (静香に)じゃなんで変装してきた? |
志都美 | 変装? |
静香 | ………。(席を立つ) |
清家 | サングラスにカツラかぶって。 |
志都美 | カツラ? (席を立つ) |
一平 | (席を立って)いいだろ、別に。気分だよ。 |
清家 | みんな、ちゃんと座れ。 |
志都美・一平・静香、それぞれに、自分の席に戻ってー。 |
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清家 | ここに来るのは恥ずかしいことか? |
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静香 | ……勇気はいるわ。 |
清家 | 自分の家だろう。 |
志都美 | でもとにかく来たんだから、いいじゃないの。 |
清家 | お前もそうだ。なぜ清家を名乗らない? 世間の目が怖いのか? |
志都美 | ………。(ため息をつく) |
清家 | なんだ? |
志都美 | 名乗るも何もあたしは倉成志都美じゃない。 |
清家 | 今日からお前たちはまた清家だ。 |
静香 | 戸籍、戻すの? |
清家 | 戻せばいい。 |
静香 | (席を立って)そんな都合よくいかないわよ。 |
清家 | どうして? |
志都美 | (席を立って)名前が変わるってことそんなには単純なことじゃないの。 |
清家 | 役所行って書類書くだけだ。 |
志都美 | 社会的なことを言ってるのよ。 |
清家 | 離婚したのはやむにやまれず。言ってみれば偽装だぞ。 |
志都美 | たとえそうでも、あたしはもう社会的に倉成志都美なの。 |
一平 | (席を立って)それでいいんじゃない。 |
清家 | なんでそうやってすぐ席を立つ? |
一平 | 座りにくいんだよ。 |
清家 | 頑張って座れ。努力しろ。 |
インターホンが鳴る。 |
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志都美 | ……哲平? |
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静香 | 早すぎない? |
一平 | 出るよ。(インターホンに出て)はい。……あぁどうも。……どういったことでしょう? ……はい、わかりました。(切る) |
清家 | 誰だ? |
一平 | お隣さん。 |
清家 | また? |
志都美 | なんだって? |
一平 | 聞きたいことがあるって。(開けようと) |