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3)見抜かれている《この世界に隠し通せることなど、ない。》


女4 「首輪がはずれたって子とは、もうサブローじゃなくなったってことよね。」
男4 「なくなった……?」
女4 「だってそういうことでしょ? 首輪があって、お隣に繋がれていて、それで初めて、サブローはサブローだったんだから。」
男4 「………。」




男4 「よし。たった今、この瞬間から俺はタカハシをやめてヤマダになる。」
女4 「ヤマダ?」
男4 「俺は俺本人ではなく、タカハシの大学時代の友人、ヤマダタロー。おまえは?」
女4 「あたし?」
男4 「お前もダメになる前に何かになれ。」
女4 「じゃあ、ノリカ?」



女4 「すみません、通してください。」
男4 「ちょっとなんですか、私たちは弔問に来たんです。あなた何写真撮っ(★)てるんですか。やめてください。」
女4 「やめてください、写(★)真撮るの。通してく(★)ださい。」 



4)葬られている《プロセスは常に蓋をされ、葬られるべきものだけが残される。》


男3 「でもさ、サトル、もっと違う側面もあったじゃないか。茶目っ気があるっていうか、もともとは真面目な子だけどさ、時にとんでもなく羽目を外すような、だけど憎めない、そんなとこ、あったじゃないか。」
女1 「あたしはそれだけで十分いろんな顔が思い出せる。あなただって今そうやって思い出してるじゃない。」



女3 「あなたがたは何を言わせたいんですか?」
「まだ10歳の子どもが自ら命を絶った。きっとイジメが原因だ。学校に落ち度がある。あなたがたには最初っからそういうストーリーがあって、そのストーリーを埋めるための材料が欲しいだけなんじゃありませんか?」



男1

ぷはぁぁぁあぁぁん。

女4 ぷぁぁぁぁぁぁぁん。
男4 ぷぁぁぁぁぁん。
  男5・男6、音に送られながら棺を抱えて出ていく。



男4 私、今日からワタナベをやめてナカムラになることにしました。
女4 あら、ナカムラさん?
男4

はい。今までのワタナベは、(フレームの中に顔を納めて)葬ってみました。



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