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綾子 ホントあるのね、記憶喪失って。そういうことだから。
幸多 ………。
斎藤 ほんとなんですか?
綾子 あたしに嘘ついて桜井さん、何か得します?
斎藤 いや、損得はわかりませんけど……
綾子 だいたいそんな手の込んだ嘘つける人だったらもっと出世してるわよ、あっはははは。
斎藤  ははははは。




せる> 〔イエロー スネーク〕は
れぞんでとる> 続きをどうぞ  
せる> どうして〔宇宙人〕って呼ぶんだろう?
れぞんでとる> とらえどころがない
ちっち> 理解不能



ちっち> ほんとにここは天国なんだ、社会の負け犬にとって
れぞんでとる> 〔ちっち〕さん……?
せる> 君、誰……?   
ちっち> キミたちのたった一人の理解者
れぞんでとる> え……?
ちっち> 〔イエロースネーク〕だよぉん



幸多 友達……?   
斉藤 名前は「キツネっち」っていうんだ、ハムスターだけど。
  斉藤が箱にかけられた布をめくってみせると、それはハムスターのケージである。 中ではハムスターが1匹、ちょろちょろと動いていて―。
斉藤 かわいいだろ。(ハムスターを取りだして両手でつかみ、幸多に向けてぺこりと一礼させて)キツネっちです。友達からお願いします。



幸多 回したくて回すわけじゃない。  
斉藤 そかな。
幸多 自分からはやめられない。
斉藤 じゃ、やめさせるか。(ボールを掲げて見せ)、まずは大きく、ゆっくり、振りかぶって……(と、ピッチャーのようなモーションで振りかぶり、俄然、力まかせに壁に投げつけようと)
幸多 ……!



鞄を提げて日比野、ゆらぁっっとリビングに現れる。
G・Jには幸多。ケージもそこにあり、中では「キツネっち」が動き回っている。
日比野は超スローモーションのように、ゆらゆらと辺りを見回している。



綾子 桜井さんの言う通りこの5年のことだわ、あなたが覚えてないの。  
日比野 全然覚えてないぞ、誰だ、タロちゃんって?
綾子

マルチーズよ。



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