藤枝・芳野・増岡、三人の男たちが見守る中、堂元と芳子は手術室へと向かっていく。 堂元と芳子、女たちが歩いて行く細長い廊下は、巨大な試験管のようにも、闇を抜けるトンネルのようにも見えて……。 女たち、消えていく……。 |
伊達 | なんだ芳野さん、こっち戻ってたんですか? | |
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芳野 | 伊達ちゃん、まだいたの? | |
伊達 | 帰りそぴれちゃったんですよ。あ、そうだ、コレ。さっきの自販機、あわよくばともいっぺんやってみたんですがね、ダメでした。1本だけ。そうそううまくいかないもんですね。 | |
藤枝 | 伊達さん、あなた何のためにコーヒー買ってるんですか? さっきのまるまる残ってますよ。 |
男たち三人、なんとなく、それぞれに開けて飲み始める。 突然、待合室が真っ赤に染まる。 鮮烈な赤に染めあげられる待合室……。 だがそれも一瞬。 男たち、何事もなかったように缶コーヒーを飲み続ける。 |