「あ、ニッポンって、ここまで来ちゃったんだ」 神戸小学生殺害事件の犯人が14歳だと知ったとき、そう思ってしまった。ここまで、というのは、ついに行き着くところまで、でもあり、10年はかかるだろうと予想していた未来が1年で来ちゃった、という感慨でもある。映画「時計仕掛けのオレンジ」の世界が足早に近づいている実感もわいた。ともかく、いい意味ではない。 人と接することのリアルさをどんどん失っていって、人はどこに向かおうとしているのだろう。「人を人とも思えなくなったとき堕落が始まるのね」と詩人・茨木のり子さんは「汲む」という詩の中でそう言ったが、リアルさを失っても堕落には向かわない道筋があると僕は信じたい。 2年前に少年法の改正問題を下敷きに『眠れる森の死体』という芝居を上演した。未成年の凶悪犯罪が急増しているその背景を、10代が生きること・死ぬことをどうとらえているのか、彼らの「気分」を描くことで知りたいと思っていた。今後、人が、ニッポンが、どこに向かおうとしているのか僕にはまだまだ分からないけれど、『楽しい暴力』で描こうとした世界は、2年前に描こうとした気分と、どこか深いところでつながっている気がしています。 |
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