恩田 | 聞いてんでしょ、私の前の学校でのこと。 | |
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保志 | ………。 | |
恩田 | 私ね、あのときより今のほうが怖いかも知れない。 | |
保志 | ………。 | |
恩田 | あのときははっきりと敵が見えてたから。 | |
保志 | ………。 | |
恩田 | 確かに渕野君に煽られてるとこあるけど、渕野君だけじゃない。クラス全体につかめそうな空気がないの。違うな、空気すらない真空状態。打っても何も響かない。まるで闘いようがないって感じ。 | |
保志 | ………。 |
保志 | (電話に)はい。………。(見る見る顔が変わって)……いつ? ……わかった。すぐいく。(電話を切り)真坂先生。 | |
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真坂 | はい……? | |
保志 | 恩田先生が生徒に刺されたそうです。 | |
真坂 | ……! |
残された真坂、堀井、島崎。 やがて真坂、ノートブックを砂の上に置き、周囲の砂をかき集めてノートブックの上にかけていく。その動きを堀井と島崎は見ていて−。 |
島崎 | ……真坂先生。 | ||
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真坂 | どうやら私たちは、新しい言葉を探し出さなければいけないようです。 | ||
島崎 | ………。 | ||
堀井 | ………。 | ||
真坂 | 過去の言葉にすがっていても、しょうがないみたいです。 | ||
その築き上げた小山に真坂、ノートブックを埋葬していく。 やがて島崎と堀井、同じように小山を築いて、ノートブックを埋めていく。次々にノートブックが埋められ、小山が築かれていく……。 |
-------作業員たち、教師たちが発掘した三角定規や制服などを次々にパネルに取り付けていく。 校内放送のスピーカーもバケツも何もかもが取り付けられる。 中途半端な状態にあった机や椅子も別の場所に移されていく。 黒板が取り付けらる。 校舎の模型が飾られる。 いつのまにか、何も示していなかったプレートと、発掘されて展示されたものがぴったりと符合している。 いつのまにか、真坂独り……。 |
生徒たち | アナタはダレですか? | ||
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真坂 | ……昔、教師でした。 | ||
壁に浮き上がる「学校博物館」の文字。 一瞬にして、学校博物館は闇の彼方。 |