父、ぷつり、とパワーをOFFにする。 が、すぐに香奈恵、父の置いたリモコンを手にしてパワーON。 途切れた歌が聞こえてくる……。 |
美咲 | 今どこにいるの? | |
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香奈恵 | 家だよ。さっきまで家族みんなでご飯食べてテレビ見てたとこ。 | |
美咲 | へぇえ。何食べたの? | |
香奈恵 | しゃぶしゃぶ。お父さんと一緒にビールも飲んだりして。(瓶ビールを手に取ってみる) | |
美咲 | 最高だねぇ | |
香奈恵 | なんかお父さんが好きなんだよね、家族で鍋つつき合うの。美咲は?どこにいるの? | |
美咲 | 我が家のリビングルーム。うちも今日は純和風だよ。お母さんと一緒に煮物作ったんだ。 |
静寂を破って、ガングロの少女A・Bがサングラスをかけて現れ、互いに挑むように向かい合って立つ。 |
少女B | あたしが見てる世界に興味ある? | |
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少女A | あんただってあたしが見てる世界、ちょっと覗いてみたいと思わない? | |
少女B | 覗いてみるわ。 | |
少女A・B、サングラスを外して相手に渡す。 交換したサングラスを少女A・B、たがいにかけて─。 |
父 | いい加減にしろ。 | |
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香奈恵 | どっちが……! | |
母 | ………。 | |
美咲 | 叱らないの? | |
母 | 叱ってほしいの? | |
美咲 | ………。 |
と、あちこちからケータイを手に、話しながら少年少女が現れる。 その誰もがカラダの一部から 線のような物が出ているが、その線がどこに繋がれているのか、その先は見えず─。 |