男Ｘ
男Ｙ
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蓮見 | ………。（ランニングマシンのスピードをあげつつ）皆さん健康雑誌を作ってるだけあって、そういう話題といい、体を鍛えることといい、よっぽどお好きなんですね。 |
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| 中村 | （自分でスピードを落としつつ）いえいえ私はたしなむ程度、 （大場を示し）あいつはもともと筋肉バカですから。 | |
| 大場 | 案外、蓮見君のほうがハマってたんじゃないですか。 | |
| 蓮見 | え……？ | |
| 大場 | （鏡の前でポーズを取りつつ）こうしてみるとまさにフィットネスクラブ。ばっちり体と向き合えるじゃないですか。 | |
| 中村 | なのにホラ、蓮見があんなことになっちゃったでしょう？ やっぱり体ってやつは内と外、両方を鍛えないと…… |
| 中村 | こいつがいけないんですよ。「どうした蓮見」って言ったそばから、もう救急車呼んでて。（大場に）お前、そういうとこだけ素早いのな。 |  |
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| 大場 | 健康第一。中村さんの教えですよ。 | |
| 中村 | （蓮見に）ばかでしょう？ どーでもいいよなことしか学ばないんですよ、こいつ。（大場に）帰るって言ってんだからさっさと服着ろ、裸族かお前はっ。 | |
| 大場 | （ポーズをとって）アポロの彫刻。 | |
| 中村 | いいんだよっそれはもう。 | |
| 大場 | （ポーズを変えて）ダビデの彫刻。………。 |
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蓮見 | そこに立ってろ。 | |
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| 男Ｙと鏡の壁の中間地点辺りに蓮見、椅子を持ってきて座る。 その距離とほぼ同じくらい離れた男Ｙの後方には男Ｘがいて、３人は鏡の壁から順に、蓮見、男Ｙ、男Ｘと一直線上に並ぶ形になる。 壁の鏡に向かって蓮見、男Ｙに鏡越しに―。 | |||
| 蓮見 | お前は何が見えてるんだ？ （目の前の鏡を指し）今、この鏡に何が見える？ 言ってみろ。 | ||
| 男Ｘを見たまま男Ｙ、ぐるぐるに巻かれたテープを剥がしていく……。 男Ｘ、目を奪われて動けない……。 やがて男Ｙの胸部から外される「顔拓」……。 その「顔拓」を男Ｙ、男Ｘに差し出す。 受け取ろうと男Ｘ、ゆっくり男Ｙに近づいて手を伸ばしていくが、突然―。 |
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| 男Ｘ | ！！！！！！！！！！！（悲鳴） | ||
| 弾かれたように男Ｙ、男Ｘを抱きしめて―。 | |||
| 男Ｙ | ……大丈夫。大丈夫だ。大丈夫……。 | ||
| 男Ｘ | ………。（涙があふれてくる） | ||
| 男Ｙ | （抱きしめたまま）やっていける。やってけるんだよ。………。 | ||
| 男Ｘ | ………。（涙が止まらない） | ||
| やがて男Ｘの体を離して男Ｙ、そのシャツを引き裂くようにはだける。 その胸にも「黒い顔拓」……。ぐるぐる巻きにテーピングされている……。 | |||
| 男Ｙ | これがピリオドだ。 | ||
| 男Ｘの「顔拓」を男Ｙ、引きちぎるように剥ぎ取る……。 | |||