劇団ワンツーワークス #27 『鯨を捕る』

[作・演出]古城十忍
2019年3月14日(木)~ 24日(日)
赤坂RED/THEATER

文化庁

平成30年度文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)

男も女も、老人も子どもも、関係ない。 いつまで群れる? どこまで逃げる? 人には、「誰しも立ち向かわなければならない時がある」。 それも、自分の決断で、たった一人で。 小さな漁師町で繰り広げられる、親子三代それぞれの、 「生き方」を懸けた闘いのドラマ。

上演に寄せて

「今でもふるさとに根っこはある」と
思い至った話
古城十忍(作・演出)

『鯨を捕る』の初演は2009年3月、今からちょうど10年前、鳥取県の米子市文化ホールで3ステージのみの上演でした。出演俳優は全員が地元・鳥取在住の演劇人。戯曲も地元の演劇人が書いたものを原案のようにしてテーマも変え、私が最初から新たに書きました。
それまで鳥取には縁もゆかりもなかったのですが、もともと私も地方(九州)で演劇を始めた人間なので、地元の方々との稽古は楽しく、どこか懐かしく、ふと自分が自分の原点に返ってきたような気になったりしました。

何より皆さん、「生活感」が都会で暮らす演劇人とはまるで違います。地元の演劇人と言っても、もちろん演劇で生活できているわけではないので、それぞれに仕事を持っています。それも全員が正規雇用または自営業ですから、アルバイトで生計を立てながら都会で俳優業に励む人たちとは違って、「その土地に根っこを張って生きている感」が一人一人の体に、声に、振る舞いに、しっかりと染みついている。そんな印象を強く受けるのです。
本作『鯨を捕る』は鳥取県米子市を舞台として繰り広げられる物語なので、芝居の稽古中にも、休憩中にも繰り出される「米子弁」を耳にしながら私は、「もはや俺の根っこは九州の自分のふるさとにはないなあ」と思い、「かといって東京が自分の拠り所となっているか?」と問われれば、「そうでもないなあ」と思う自分もいて、なんだか自分自身がすっかり根無し草になったようで、なんとも言いようのない寂しさを抱えたこともはっきりと覚えています。

話は変わるようですが、本作『鯨を捕る』を東京で上演しようと決めたのは一昨年の秋頃のことです。自分たちで名乗ったことはないのですが、よく「社会派」と言われ、数々の社会問題を題材とした芝居を発表し続けているワンツーワークスが意表を突いて、地方を舞台とした人情ドラマを東京で上演するのも、「悪くないんじゃないの? 劇団の作風の幅も広がることだし」と、どちらかと言えば打算的な気持ちでラインアップに加えたように思います。

そしてまたまた話は変わるようですが、私には兄が二人います。その長兄のほうが、『鯨を捕る』の稽古がまもなく始まろうとする今年1月、死にました。肺がんでした。
昨年の7月頃に、何年ぶりだろうと思うくらい久々に長兄の娘(私には姪)から電話があって、「肺がんで余命1年もないだろう」という知らせは受けていたのですが、今の容態だけを聞いて「そうか、わかった」とあまり深入りした話は聞きませんでした。というのも、長兄とは過去にいろいろあって絶縁状態になっていたからです。
そして昨年12月の半ば過ぎ、姪から「あと、ひと月はもたないと医師に言われた。できれば会いにきてほしい。パパ(長兄)は弟たち(私たち)に会いたがっている」と電話があり、私は悩みました。「今さら会ってどうなる? 俺は長兄を許せるのか? 会ったところでいったい何を話せばいいんだ?」と。
結局、私は年の瀬も押し詰まった12月末、新幹線に飛び乗るようにして九州まで出かけました。長兄との病室での対面。25年ぶりの再会でした。長兄は抗がん剤治療で顔も体もぱんぱんに腫れ、髪の毛はすっかり抜け落ち、足も浮腫で丸太のようになっていました。それでも私の顔を見るや「おお……!」と目を見張り、涙を流し、「よく来たなあ、よく来てくれたなあ」と何度も言いました。長兄は昨日まで体を起こすのもやっとという状態だったらしいのですが、体を起こせと姪にせっつき、それこそ立て板に水のごとく、次から次に「あのとき、こうだった」「あんなこともあった」と昔話をひっきりなしに喋りました。「いったい何を話せばいいんだ?」と斜に構えていた私も、言われれば次々に昔の場面が鮮明によみがえってきて、気がつけば4時間近く、姪も交えて喋りっぱなしでした。
私はどうしても次の日の仕事で日帰りせねばならず、夕方6時過ぎには再び新幹線に乗ったのですが、車中の私に姪から「パパがものすごく元気に喋ってたんで驚いた」「よおし、がんに勝って年が明けたら東京に行くぞ。東京に行ってあいつの芝居を観るぞ、と言ってた」「よっぽど嬉しかったんだと思うよ」と次から次にメールが届きました。
長兄はそれから1週間後に逝きました。
そして私はしばらくして始まった『鯨を捕る』の稽古に臨みながら、俺は根無し草じゃないんじゃないか、俺の根っこもしっかりと九州のふるさとにあるんじゃないか、そんなことを考えました。そう思うと、それまで何度も読んでいた『鯨を捕る』の世界がとても新鮮に、身近に感じられてきて驚きました。
この芝居が観客の皆さんの心にも残る作品になれればと、今は切に思います。

2019年3月

公演日程

  14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
14:00     3 4     7 9   11 13
19:00 1 2     5 6 8   10 12  

★…アフターイベント、あります!

3月15日(金)
19:00の回
公開ダメ出し
「ガチでやります」
出演者の誰か×古城十忍

無事に公演スタート、本日は2ステージ目。さて今回の、というか今日の芝居は満足のいく出来だったのか。終演後に演出家・古城十忍が納得いかない演技をした俳優を容赦なく舞台に呼び出し、観客の皆さんの前で稽古場さながらガチでダメ出し。演出家は至って真剣、俳優も負けじと真剣。なのに、なぜか毎回、客席は爆笑の連続。演出家と俳優、それぞれの芝居に懸けるこだわりの一端も垣間見えますよ。

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3月18日(月)
19:00の回
出演者トーク(1)
「役として生きる」
進藤 忠+長田典之+上村正子+関谷美香子

さて、「役として生きる」ってどういうこと? それぞれ長年のキャリアを誇る4人が、役づくりの仕方や、多くの舞台で培ってきたもの、今作品で得たもの、実は共演者に言いたかったことなどを紐解いていけば、舞台上で生き生きと存在するための要が、役として互いにセッションを続けていける秘訣が、ちょっとわかるかもしれません。実は俳優ってこんなふうに演じているんですよ~ってな内緒の(?)話。ご期待ください。

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3月19日(火)
19:00の回
出演者トーク(2)
「舞台表現の楽しさ」
吉村健洋+小林桃子+小熊 綸+関谷美香子

初めてワンツーワークスでの作品づくりを体感した客演のお三方、何かしら発見したことが当然あるでしょう!稽古初日から幕が上がるまでに、果たして何が起こっていたのか、遠慮なくぶっちゃけてもらいます。飛び出すのはドS演出家・古城十忍への悪口? ムーブの苦労? それぞれの役へのアプローチ? 稽古後の飲み会? そんなこんなを全部ひっくるめて舞台をつくりあげていく楽しさを大いに語り合います。お楽しみに。

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3月20日(水)
19:00の回
スペシャル対談(1)
「生きづらい理由」
諸富祥彦(明治大学教授)×古城十忍

ゲストの諸富祥彦氏は心理学者で、スクールカウンセラーでもあり、「悩める教師を支える会」の代表も務める。いじめのなくならない学校だけにとどまらず、広がる格差社会にあって、人生に「むなしさ」「孤独」「挫折」「生きづらさ」を抱えている人はますます増えているように思われる現代。「立ち直り力」を培い、「折れない自分をつくる」にはどうすればいいのか。その極意を古城十忍が聞きながら、「現代を満足して生き抜く方法」について二人で存分に語り合う。必見です。

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3月21日(木・祝)
14:00の回
スペシャル対談(2)
「何を絵にするのか」
古川タク(アニメーション作家)×古城十忍

アニメはもちろん、イラストレーターとしても活躍を続ける古川タク氏。ワンツーワークスでは一跡二跳時代の1993年から既に25年間、チラシのイラストを手がけている。古城十忍との対談では、芝居の何を絵にしようと心がけているのか、またゼロから生み出すほかの仕事ではどんな着想のもとに作品にアプローチしているのか、クリエーターとしてその「創作の方法」を互いに存分に語り合う。また、二人が選ぶそれぞれの、これまでの公演チラシ・イラストの「ベスト5」を発表する。

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3月22日(金)
19:00の回
バックステージ・ツアー
「舞台からの眺め」
案内人:奥村洋治+小山広寿

「ウェルカム・トゥ・ザ・バックステージツアー!」。奥村洋治&小山広寿コンビがまずは大声でご案内! まさか、つい今さっき観て感涙したその舞台に立つことができるなんて! ってあれ? 奥村洋治は今日芝居に出てた? ふっふっふっ……。出てたかどうかなんて、ちっちゃいちっちゃい。秘密こそ悪魔の微笑み! ああ、ドキドキする! ネタバレ注意! 「えーっ!そうだったの?」、知的好奇心満足! あたし見る! 乞うご期待!

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チケット

発売日

一般前売り開始
2019年1月31日(木)

料金(全席指定・税込み)

一般(前売)
4,800円
一般(当日)
5,000円
学生
3,000円
初日割(前売り)
4,000円
  • *「学生」チケットはシーボーズのみの取り扱い。当日、会場で学生証の提示が必要です。
  • *「初日割」チケットは、3月14日(木)の前売扱いのみ。
  • *受付開始および当日券販売開始は開演の1時間前、開場は30分前です。
  • *10歳未満の児童はご入場いただけません。

取り扱い

ワンツーワークス
http://www.onetwo-works.jp/
シーボーズ
Tel&Fax:03-3635-8686
mail:27ticket@onetwo-works.jp
チケットぴあ
0570-02-9999 (Pコード:491-662)
http://w.pia.jp/t/onetwo-works/
Confetti(カンフェティ)
WEB予約 http://confetti-web.com/onetwo-w27/
電話予約 0120-240-540(平日10:00~18:00)
カルテット
https://www.quartet-online.net/ticket/onetwo-w27

お問い合わせ

ワンツーワークス
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-8-3
佐保会東京会館101
tel:03-5929-9130  
fax:03-5929-9131
鯨を捕る

(チラシ pdf)

劇場

赤坂RED/THEATER

東京メトロ丸の内線・銀座線
【赤坂見附駅】(10番出口)より徒歩2分
東京メトロ千代田線
【赤坂駅】(2番出口)より徒歩6分

〒107-0052
東京都港区赤坂3-10-9
赤坂グランベルホテルB2

※劇場入口はホテル入口と異なります。
お越しの際はご注意ください。

TEL:03-5575-3474
ロビー直通:03-5575-7132(公演期間のみ)

スタッフ

  • [美術]礒田ヒロシ
  • [照明]磯野眞也
  • [音響]黒澤靖博
  • [舞台監督]尾崎 裕
  • [衣装]友好まり子
  • [ドラマトゥルグ]富貴純子
  • [大道具]イトウ舞台工房
  • [小道具]原田佳世子
  • [方言指導]永田涼
  • [演出助手]成生隆倫
  • [舞監助手]小山広寿
  • [衣装助手]増田 和
  • [イラスト]古川タク
  • [デザイン]西 英一
  • [スチール]富岡甲之
  • [舞台写真]黒木朋子
  • [票券]川井麻貴 シーボーズ
  • [協力]アイズ/アトリエトモヨシ/イッツフォーリーズ/オールスタッフ/劇団朋友/さいたまゴールド・シアター/Gプロダクション/タクンボックス/ワタナベエンターテインメント(以上、50音順)/一二の会
  • [助成]文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
  • [制作]藤川けい子
  • [製作](株)オフィス ワン・ツー