女2 | 大人の隠れんぼって大変よね。 | ||
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男3 | 隠れんぼ? | ||
女2 | なんかそんな感じしません?こんなに広い社会なのに隠れても隠れてもすぐに見つかってしまう。見つけられる「もと」になりそうなものを片っ端から捨てていってもダメ。いつもずるずる長い鎖を引っ張られてしまう。 |
女4 | 「たいしたことじゃないわよ。」 | |
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男1 | 「気になるだろ、何だよ。」 | |
女4 | 「………。」 | |
男1 | 「何だよ?」 | |
女4 | 「イジメが原因だと思ってるのか。学校はイジメはないと言ってるだろ。やり方が卑劣だ、卑怯だ、人権蹂躙だ、恥を知れ。」 | |
男1 | 「………。」 |
男1 | 「……今の話は、一度過ちを犯した人間は二度と社会復帰してはいけない、そういう意味ですか?」 | |
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男4 | 「いやいやそうじゃありませんよ。まぁ今回の子供たちは、酒鬼薔薇とは違いますけどね、犯罪者でもありませんし。」 | |
女4 | 「でもサトルには同じです。」 | |
男4 | 「ですよね?」 |
男4 | 「(態度が豹変して)ダメですよタカハシさん、インターネットに勝手に出しちゃあ!」 | |
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男1 | 「……インターネット?」 | |
男4 | 「あなた、5人の実名、インターネットに出したでしょう?遠足の時の写真もつけて、コレがコイツってわかるようにして。」 |
男1 | 「北海道に行ってさ、俺とおまえ二人で、サトルの話をいっぱいしよう。」 | |
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女4 | 「悪くないわね、そのプラン。」 | |
男1 | 「だろう?北海道のいろんなとこに行って、サトルのいろんな話をするんだよ。」 | |
女4 | 「あれ6年前だった?サトルを連れて行ったじゃない。あのときのコース、もう一度回って。」 |
突如、フレームに納められた顔が浮かび上がる。その目の部分には黒く帯が塗られている。 誰かが現れて、その目の部分の黒帯を外すと、フレームの顔は見る見る怒りに満ちて男1を追っていく。男1、逃げ続ける。 |