本日は一跡二跳公演に足を運んでくださって、ありがとうございます。 ,ほぼ1年ぶりの新作です。学校問題はいつかやらねばと、なぜか義務感のようなものもあってスタートさせたのですが、いやはや一筋縄ではいきません。調べれば調べるほど、踏み込めば踏み込むほど、深い森に紛れ込んでいくようで、ずいぶん途方に暮れました。誤解を恐れずに言えば、まぁみんな、実に好き勝手なことを言ってやがるぜ、という印象なのですが、それだけこの問題は、それぞれの人が「どうしても譲れない部分」を持っているということでもあるようです。ちなみに僕は、学校という場所がとても好きでした。それこそ小学校から大学まで、ずっと好きでした。 さて、まもなく開演です。想像力をフル回転し、あれやこれやと「深読み」を楽しんでいただければ幸いです。それでは。 |
幻聴のように、「仰げば尊し」の歌声がかすかに聞こえてくる……。 するすると、ポールに「学」と染め抜かれた旗が揚がっていく……。 風が強いらしく、「学」はそよとはためきながら揚がっていく。 埋もれた建物のてっぺんで「学」が翻る……。 |
恩田 | 自分、見てんの? 自分見つめて反省? 独り作戦会議? | ||
---|---|---|---|
保志 | あいつら卒業式には出ないって、絶対出ないって約束したんですよ。なのに。 | ||
恩田 | 誰の卒業式だと思ってんの? | ||
保志 | 顔見ました? 入って来たとき笑ってましたよ。 | ||
恩田 | 晴れの門出だわ。 | ||
保志 | なんか企んでンですよ。でなきゃ遅れてのこのこやってきて、へらへら笑ってられます? 笑います、普通? |
恩田 | 出よーよぅ、卒業式。 | ||
---|---|---|---|
保志 | ……イヤです。 | ||
恩田 | 出なさい! | ||
保志 | 金輪際、イヤです。拒否します。あれは僕の学校じゃない。 | ||
恩田 | ………。(いきなり詰め寄って、保志の襟首をつかみあげる) | ||
保志 | なんですか。 | ||
恩田 | 学年副主任として命令する。卒業式に、出なさい。 | ||
突然、「贈る言葉」を打ち破って、ビートルズ「Let it be」が高らかに聞こえ始める。。 |
真坂 | あいるらの「なすがままに」に振り回されたら、砂漠はますます不毛の地になるだけです。 | |
---|---|---|
保志 | 先生のような教師が不毛にしたんです。 | |
真坂 | 学校は、自分で作らなきゃダメです。 | |
保志 | ………。 | |
真坂 | どうです、ご一緒に? |