男3 | じゃまず、(男1に)お父さん、こちらにいいですか。 | |
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男1 | はい。 | |
女0 | パパ、頑張って。 | |
男1 | ……何を、すればいいんでしょうか? | |
男3 | こっちの人形(♂)を刺してください。 | |
男1 | 刺す? | |
男3 | ええ、これで。(鋭利なナイフを出して、男1に渡す) | |
男1 | ………。 |
女1 | ………。 | ||
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女2 |
刺してください。 | ||
女1 | できません。 | ||
女2 | じゃあたしが代わりにやります。 | ||
女2,男3からナイフを受け取って、人形(♂)を刺す。何度も突き刺しながら──。 | |||
女2 | これで明日は面会してくださいますか? あの子にちゃんと言っていただけますか? 言っていただけますか? |
突然,人形(♂)の顔の部分に、男0の顔が浮かび上がる。 | ||
男0(人形♂) | イッッタァイ、イタァイ、イタイイイイイ、……コロサナイデクダサイ、コロサナイデクダサイ、コロサナイデクダサイ、コロサナイデ……、モウシワケアリマセン。モウシワケアリマセン。モウシワケアリマセン。モウシワケアリマセン。………。 |
男1 | 車の中では誰も、何も、話しませんでした。 ただ、テラハラさんの指示で、それぞれの人形は交換して持っていくことになり、妻たちの抱えているものの大きさの違いだけが、昨日とは違う風景です。 役立たずではいけない、役立たずで終わっては意味がない。そう自分に言い聞かせているうちに、私は再び拘置所へと足を踏み入れたのです。 |
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