[Return]


9)ロッジ
男3 じゃまず、(男1に)お父さん、こちらにいいですか。
男1 はい。
女0 パパ、頑張って。
男1 ……何を、すればいいんでしょうか?
男3 こっちの人形(♂)を刺してください。
男1 刺す?
男3 ええ、これで。(鋭利なナイフを出して、男1に渡す)
男1 ………。



女1 ………。

女2

刺してください。
女1 できません。
女2 じゃあたしが代わりにやります。
  女2,男3からナイフを受け取って、人形(♂)を刺す。何度も突き刺しながら──。
女2 これで明日は面会してくださいますか? あの子にちゃんと言っていただけますか? 言っていただけますか?



  突然,人形(♂)の顔の部分に、男0の顔が浮かび上がる。
男0(人形♂) イッッタァイ、イタァイ、イタイイイイイ、……コロサナイデクダサイ、コロサナイデクダサイ、コロサナイデクダサイ、コロサナイデ……、モウシワケアリマセン。モウシワケアリマセン。モウシワケアリマセン。モウシワケアリマセン。………。


10)道程

男1 車の中では誰も、何も、話しませんでした。
ただ、テラハラさんの指示で、それぞれの人形は交換して持っていくことになり、妻たちの抱えているものの大きさの違いだけが、昨日とは違う風景です。
役立たずではいけない、役立たずで終わっては意味がない。そう自分に言い聞かせているうちに、私は再び拘置所へと足を踏み入れたのです。


[Return]