振り切るようにセリナ、ケーキを包みから出してテーブルに置く。 | ||
セリナ | 1984年、一人の女の子が、(ケーキの包みを開けて)この世に生まれました。 | |
昔セリナ | 毎日が楽しかった小学校4年生。 | |
セリナ |
あんたは黙ってて。(小さいローソクを立て)11歳になりました。 |
昔セリナ | あたしのせいだって言うの? | ||
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セリナ | そう、その通り。あんたがうまくやらなかったから。あんたが戦わなかったから。 | ||
昔セリナ | セリナは高校生になって戦った? | ||
セリナ | 戦ったわ。戦ってるわよ。 | ||
昔セリナ | 誰と?何と?ドカ食いしちゃげーげー吐きまくってるだけじゃない。 |
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母 | もうすぐ塾から帰ってくると思うから。そしたら聞いてよ。 | |
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セリナ |
(ケーキを見たまま)今日は塾のない日よ。 | ||
父・母 |
………。(セリナを見る) | ||
母 | そうだった? | ||
父 | 何やってんだ、あいつは。 | ||
母 | (誰に言うともなく)困るわ……。 | ||
セリナ | ……。(残る2本のローソクをゆっくりケーキに立て始める) |
少女たち | 豚は臭い。豚は臭い。豚は臭い。………。 | |
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昔セリナ | (耳をふさいで呪文のように数を数え始める)1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18……… |
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ミツル | 先生、僕はいじめに遭っています。 | |
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先生 |
何があった? | ||
ミツル |
誰が誰にどんな目に遭ってるか、先生が自分の目で確かめてください。 | ||
先生 | 確かめろって言われてもなぁ。 | ||
ミツル | 見ればわかります。 |