走太郎 | だからどこに運ぶんだよ? 誰のだよ、コレ? | |
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母 | (菜園用の霧吹きを持って現れ)Aがおじいちゃん、Bがお父さん。ABCDE、マジックで書いてあるでしょう? 書いてないの? | |
走太郎 | 書いてあるけど、Zだぜ。 | |
母 | Z? | |
走太郎 | うち5人家族なんだから、Eまでしかないんじゃねぇの? | |
母 | おかしいわね、N…ってことにしても変よね? | |
走太郎 | Nだと何人家族になると思ってんだよ? |
父 | そうだな。 | |
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母 | 今までずっと狭い家に住んでましたからねぇ。 | |
祖父 | だから増やすんじゃ。 | |
父 | 増やす? | |
祖父 | いろんなモノが増え、いろんな思い出が増え、そうやって、この家は我が家になっていくんじゃ。 |
父 | 走次、満8歳の誕生日、おめでとう。 | |
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走太郎 母 祖父 | おめでとう。 |
走次 | 僕の誕生日だよ。みんなで一緒に食べようよ。 | ||
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途端に家族の面々は、なぜかだだっ子のように幼くなっている 祖父にいたってはまるで赤ん坊のよう。 | |||
父 | どうしたんだ? 走次。 | ||
母 | 早く食べちゃいなさい。せっかくお母さんが腕をふるったんだから、残さないで食べるのよ。 | ||
走太郎 | 俺もう食えないよ、腹いっぱい。 | ||
父 | 俺ももういいな。これ以上コレステロールをためこみたくないし。 | ||
祖父 | コレ、おかわり。 |