小箱 | (日誌を読んで)輪廻転生というのがあります。蚊やハエやゴキブリはあんなに嫌われているけれど、死んだら何になると思いますか? ぼくは彼等は死んだら地球を守るオゾン層になるのだと思います。 | |
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走太郎 | ゴキブリがオゾンになるのか? | |
小箱 | その証拠に彼等はフロンガスに極度に弱い。ぼくらは彼等と彼等の魂を二度殺すことにより滅びるのです。だけどゴキブリはどんどん増えては、どんどん増えては死んで、死んで守っているのです。 |
小箱 | お年寄りをいたわって何がいけないの? | |
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走太郎 | だったら、じいさんの後妻にでもなれよ。 | |
小箱 | やめてよ、そんな言い方。 | |
走太郎 | どうせ老い先短いもんな。遺産狙うにはチャンスってわけだ、おばあちゃん。 | |
小箱 | (思いきり走太郎をひっぱたく) |
小箱 | 好きなの? | |
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走次 | (驚いて)え? | |
小箱 | 三色スミレ。さっきもじ〜っと見てた。 | |
走次 | あ、ああ、これ。この花、また新しく買ったんだね、小箱さん。 |
父 | 俺に余計な負担をかけるなよ。 | |
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母 | あたしには負担じゃないって言うの? | |
父 | だいたい主婦業ほっぽりだしてるお前のせいでこうなったんだろ? | |
母 | またあたしのせい? あたし一人が悪いんですか? | |
父 | いいからとにかく彼女をクビにすればいいんだ。 |
父 | ああ。お前、明日学校終わってから何か用事あるか? | |
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走次 | 別にないけどどうして? | |
父 | じゃ夕方、父さんと外で食事しよう。 | |
走次 | お父さんと? |
母 | 走次、明日土曜日だから、午前中で学校終わるわよね? | |
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走次 | 終わるけど、何かあるの? | |
母 | お昼ご飯、母さんと一緒に外で食べない? | |
走次 | え? | |
母 | なにもそんなに驚かなくたっていいでしょう? | |
走次 | さっき父さんも夕方一緒に食べようって…。 |