ツメタ郎 | やったよ。 | |
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男先生 | やってないよ。 | |
ツメタ郎 | じゃ証拠は? いつやらなかった? 何時何分何十秒? | |
男先生 | バカか、お前。時間なんか関係ないんだよ。いいからちょっと来い。 |
女先生 | またあんたたち。二人っきりで何してたの? | |
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走次 | ちょっと教養をつけようかと思って読書を。 | |
女先生 | 嘘おっしゃい。(走次に)あなた、彼女にハレンチな本見せようと思ってたでしょ? | |
走次 | 先生って男性不信ですか? | |
のりこ | 羽山君! | |
女先生 | (走次の手をとり)ちょっと職員室いらっしゃい。 |
父 (オーベロン) | ではお前が改めるがいい。お前が悪いのだ。なぜタイテーニアがオーベロンに盾突くのだ? 俺はただあの少年を私にと頼んでいるだけなのだ。 | |
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走次 | 少年? | |
母 (タイテーニア) | ご安心なさい。たとえ妖精の国を全部もらっても、あの子だけは手放しませんから。もう行くわ、これ以上ここにいるとまた喧嘩になるから。 | |
父 (オーベロン) | ええい、勝手に行くがいい。だがこの侮辱に対し、きっと仕返しするからな。 |
屋上を下りて帰っていく走次。 のりこ、本を抱えて一人で三色パンを食べ始める。食べながら、努めて記憶を掘り起こし、その顔に涙があふれそうになったり、笑顔 がいっぱいにこぼれそうになったりする。 | |||
ツメタ郎 | (屋上の下に現れて)の〜りこちゃん! まだ時間かかる? | ||
のりこ | ………。(現実に引き戻されて、黙って立ち上がる) | ||
ツメタ郎 | パパとママが聞いてきてくれって。 | ||
のりこ、無言で屋上から駆け降りると、そのまま走って行く。 |